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女性消防団員、「ありがとう」の重み

[取手市女性消防団部長 山口 文子さん]
645person.jpgおよそ1万7000人。
これは現在、全国で活躍する女性消防団員の数である。
家庭や仕事を持つ女性たちが、ボランティアで消防士のサポートを行っているのだ。
茨城県は、全国的に見ても女性消防団員の活動が盛んな県。
目下のところ、県内全市町村への女性消防団の配置を目標にしている。
そして、取手市に「女性消防団のことをもっと知ってほしい。一人でも多くの女性消防団員の仲間を増やしたい」
そんな熱い思いで6年間活動を続ける、一人の女性消防団員がいる。



投稿日時:2009/12/04

女性消防団との出会い
「下の子が保育園の時に、消防車が好きでよく見に行っていたんですよ。丁度そんな頃、近所に女性消防団の方がいることを知って、軽い気持ちでどんなことをしているのか、話を聞きに行ったんです」。
 今から6年前のこの出会いが、女性消防団として活躍する山口さんにとって、運命的な出会いになった。話だけのつもりで向かったはずの山口さん。ところが、相手の「待ってるから」というその一言で、その後気づいた時には消防団に入団することに。
 人に頼まれると、どうしても断れないタイプ。でも、もともと体を動かすことは大好きだし、好奇心旺盛な性格なこともあって、その後どんどん女性消防団としての活動にやりがいを感じていったのだと言う。
 二人の息子の母でもあり、当時から仕事と家庭を両立させていた山口さん。そこへさらに女性消防団員としての活動が加わったのである。家族の絆なしには、決してやってこれなかったことだという。
「私がこうして消防団の仕事をすることができるのは、家族の協力があってこそです。」消防団の活動で家を開けることに対して家族みんなの理解があることが、山口さんの活動を支えている。



命の大切さを教える

 女性消防団員になってから4年後に、応急手当普及員の資格を取得。この資格は、一般の人に対して、救命法を指導するために必要な技術と知識を有する者として設置された資格である。その資格を活かして現在、学校や施設などで、心臓マッサージや人工呼吸などを含め、応急手当に関わる講習を行っている。
「先日は、小学4年生の教室で救命講習会を行ったんです。まだ4年生だと難しいかな、という心配もあったのですが、みんな真剣に取り組んでくれて、命の大切さというものを心から感じてくれたようです。」
 救命講習会の多くは、平日の昼間に行われている。現在山口さんを含め11名いる女性消防団員の多くは、仕事や家庭を持つ主婦でもある。その為、皆が協力し助け合って、活動を行っているのである。ここには、団員達の絆がある。
 他にも女性消防団の仕事のひとつに、一人暮らしのお年寄りの自宅への火災予防活動がある。義務化された住宅用火災警報器の話や、火災のおきやすいポイントなどをチェックする。
「中には、毎年待っていてくれる方もいらっしゃるんです。本当に嬉しいことですよね。一人暮らしの方だと、もし火災になった場合などは、本当にちょっとしたことでも、意識しているかどうかというのが大きいんですよね。こんな場所に物が置いてあったら、もしもの場合逃げ道をふさいでしまうとか。コンセントのホコリは、小まめに掃除をしておくこととか。一人ひとりと直に話が出来て、火災予防について少しでも興味を持ってくれるということは、本当に意味のある活動だと思います。」



取手市女性消防団のみなさん。左から河野さん、山口さん、谷口さん。ありがとうの重み
 2年前、取手市女性消防団では、取りまとめ役である部長の後任を決めることになった。その時、満場一致で選ばれたのが山口さんだった。持ち前の明るさと面倒見の良さから、仲間や後輩達から、今も尚心から信頼され慕われ続けている。
 現在日本では、国を挙げて女性消防団の人員増加を推進している。その一環として行われているのが、全国活性化大会というイベントである。全国の同じ女性消防団員たちが集まり、活動報告が行われる他、様々なイベントが繰り広げられている。今年は、岡山県で行われ、山口さんはこの大会にも参加してきた。
「同じ女性消防団として活動している人たちと、普段はなかなか出会う機会ってないんですよね。でも他の人たちの活動を知って、自分達にはない良さを発見したり、逆に自分達の自信につながることもあったりして、本当に素晴らしいイベントだと思います。」
 全国開催の活性化大会を、茨城県では3年前から県独自で開催するようになった。実は、この茨城県活性化大会(女性消防団促進大会)の発起人も山口さんだった。
「全国だと、距離的な問題もあってなかなか大勢が参加するということは難しいんですよね。でも県内であったら、より身近に参加することが出来ますから。」
 山口さんには、活性化大会を通して女性消防団員を一人でも増やしたいという思いがある。その為にまず、何よりも女性消防団を知ってもらうということが大切。その思いもあって12月6日(日)には、取手市の駅前で女性消防団員の入団キャンペーンが行われる。キャンペーンを通じて、実際に女性消防団というものを感じてみてはいかがだろうか。
「制服に袖を通すと、何となく気持ちもキリッとしますよね」今日もまた山口さんは、主婦の顔から、一瞬にして女性消防団員の顔になる。
「ありがとうと喜んでくれたらその一言で、これまでやってきたことに対して、本当にやってきて良かったなって思うんです。私も、役に立っているのかなって思うんですよね。」
 キラキラとした瞳で話す山口さんの顔は、大きなやりがいに満ち溢れているようだった。ひょっとしたら、一人また一人と全国に女性消防団員が増えていく事は、こうした自分へのやりがいを感じる女性が増えていくということなのかもしれない。


■プロフィール
山口 文子 Ayako Yamaguchi
取手市消防団所属の女性消防団員。
平成15年旧藤代町消防団に入団。
平成19年に応急手当普及員の資格を取得。
同年女性消防団の部長に就任。
現在は主に、消防団の広報業務、学校や施設への救命講習などを行っている。
取手市在住