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森へ行こう。

[牛久自然観察の森レンジャー 渡邊 浩美さん]
667person_ttl.jpg牛久市結束町にある「牛久自然観察の森」は、東京ドームが5個入るくらいの広さがあり、スギ・ヒノキの林や草はら、造成された池など、昔から私たちの生活のそばにあった里山の自然が再現されている。
この森は環境省の事業として整備されたもので、全国に10か所しかない自然観察の森のひとつである。
決して珍しい草木を集めた場所ではないが、あるべき姿の自然があり、そこには花や虫、鳥などたくさんの生き物が暮らしている。

投稿日時:2010/07/24

 フクロウが暮らす森、夏にはホタルが飛び交う里山。
 牛久自然観察の森にはフクロウが住んでいる。毎年決まった場所で産卵をし、フクロウのヒナが孵っている。ノウサギやタヌキも住んでいる。森を散歩すると、がさがさと揺れる草むらから、小さな動物がひょいと顔を出しそうな気配がある。生き生きとした植物の生長、生き物と共生する森がそこにある。

【子育てと森】
レンジャーのみなさん 自然観察の森でレンジャーをしている渡邊浩美さんが、この森を訪れたのが20年前。まだ子どもがお腹にいた頃で、人が足を踏み入れることが出来る森があることにびっくりしたそうである。子どもが生まれてからは、親子で森を訪れる。一日ゆっくり出来る場所、それが自然観察の森だった。ベビーカーを押していても安全に移動できる、そんな森は珍しい。ガイドがつく日もありレンジャーから直接聞く森の話はとても興味深いものだったという。幼児とその保護者を対象にした自然体験講座「しぜんっこくらぶ」に参加し、森での読み聞かせやわらべうたを歌い、森と関わりながらの子育てを楽しんだ。雑木林の会(当時)では炭焼きをしたりしたことも。「子どもは私に連れて来られた感じかもしれないですね(笑)。それがいつの間にか、友人に森のガイドをしていたことがありました」。

【森のレンジャーに】
 その後渡邊さんは、ボランティアとしての作業や、植生調査・入力のお手伝いなどに関わるようになり、子どもが小学4年生の頃、レンジャーに採用。施設管理やガイド、巡回などの仕事をするようになる。広大な森を保全することは、自然との追いかけっこのようなもの。ボランティアのみなさんにはとても助けられているという。「植生管理ボランティアのみなさんは草刈りや間伐、巡回など森の保全に精力的に活動して下さっています。定年後に何か役に立つことをしたいと参加される方も多く、みなさん第一線で活躍されていた人ばかりです」。
大田黒摩利さん 渡邊さんにレンジャーの仕事の楽しさを伺うと「自分で企画を立ち上げ実行に移す仕事が出来ること」と返事が返ってきた。例えば7月17日(土)から8月1日(日)まで開催されている「絵本原画展」もそのひとつ。この催しは自然観察の森で毎月発行している「森のしんぶん」にイラストを描いている大田黒摩利さんの絵本の原画を展示する。絵本は『はっぱのあな』(福音館書店)と『川から地球が見えてくる』(どうぶつ社)。大田黒さんが細密画で描いた自然や生き物は、その正確さ緻密さに加え、自然を楽しむ気持ち、慈しむ気持ちが表れており、見る人を優しい気持ちにさせる。大田黒さんは「美しいものを見て、描き写したい、自分で描いてみたいという気持ちになりました。絵を描くことで物事を深く見ることが出来るようになったと思います」と語る。

【子どもたちと森】
金久由美さん 渡邊さんの影響を受けてレンジャーに参加したのが金久由美さん。「しぜんっこくらぶ」や「森でランチ」など子どもたちと関わる事業を担当している。幼稚園教諭をしていた金久さんは前職を活かして子どもたちに絵本の読み聞かせやわらべうた、手遊びなどを教えている。「私が子どもの頃は、身近に里山があって、野山を駆け回っていました(笑)。初めて牛久自然観察の森に来た時は、ホームグランドに帰ってきたような懐かしさを感じました。まるで自分の原点に帰ったような感覚とでもいいましょうか」と金久さん。
 野外で絵本を読む体験はなかなか出来ないもの。小さい子どものいる親子を対象にしたイベントなので、お母さん同士友達づくりの場にもなり、虫が苦手な子どもにならないよう、小さい頃から自然との関われる体験させたいと考えている。
 「例えば栗のイガを始めて見た子どもは、びっくりしますよね。触ると痛いし。そんな初めての出会いをたくさんしてもらいたいですね。ハチはこわいと感じている子どもにも、こちらから危害を加えなければ攻撃はしてこないから大丈夫なんだよと教えます。自然や生き物のことを知れば、こわいと思っていたことも平気になる。ここでは生態系の不思議や面白さを知ることができます」と金久さん。

【森の恵み】
 渡邊さんたちレンジャーは別名「インタープリター」とも呼ばれている。インタープリターとは虫や自然に変わって通訳をする者だ。
 インタープリターは自然の声に耳を傾ける。何度森を訪れても、今日会った虫とは二度と会えない。葉っぱの色も毎日違っている。そんな体験をたくさんの人にしてもらいたいと語る渡邊さん。「石神園長が、ここに来てくれる親子は成功だなというんです。2回3回と通っていると、自然と名前も覚えて友達もできる。自然体験や観察を通して、見る・聞く・話す、五感を使うことが出来る。たくさんの驚きを子どもたちに体験して欲しいです」と渡邊さん。森での体験をした子どもたちは、学校の登下校で、森にあった植物と同じものを見つけたり、家庭菜園の野菜に止まっていたさなぎを見つけ、蝶になるのを観察したり、身の回りの自然にも関心を持つようになるという。
 今後は、牛久自然観察の森だけにとどまらず「みどりの回廊」作り、地域的な広がりを考えていきたいとのこと。「これからの暮らしの中で、この森だけが残っても仕方がないと思うんです。森だけではなくて、町全体でホタルが見られるようになったらいいなと思います。私の住んでる町はホタルがいるんだよと、自分の住処を誇りに思えたら素敵ですよね」と渡邊さん。




渡邊 浩美さん
■プロフィール
渡邊 浩美  Hiromi Watanabe
茨城県境町生まれ 牛久市在住
筑波大学にて、臨床検査技師として文部技官を約10年勤め
出産後、牛久自然観察の森にてボランティアを経て、
平成13年より牛久自然観察の森のレンジャー(自然観察指導員)となり、現職。
環境カウンセラー(環境省認定)

牛久自然観察の森
牛久市結束町489-1 ☎029-874-6600
開園時間 9:00〜16:45
入園無料
夏休みの休園日:7/26(月)8/2・9・16・23・30(毎週月曜日)
■夏休み森の楽校(がっこう)7/27〜8/31の火〜金曜日10:00〜12:00(予約不要30分前より受付)
小学生を対象とした自然教室です。各日定員30名先着順となります。※参加無料
他にも、様々なイベントがあります。詳しくはホームページをご覧ください。
http://www.city.ushiku.ibaraki.jp/section/kansatsu/
 




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