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モザイクタイルに「愛と平和」への思いを込めて

[モザイク・タイルクラフト作家 加地菜津(NATSUKO)さん]
675person.jpg「タイル」というと何を思い浮かべるだろうか。
キッチンやお風呂のタイル、タイルで装飾されたテーブル、タイルを使った小物など、色や形、素材も様々なタイルがある。
どれも不思議と、眺めていると心が和んで、いつまでも見飽きない魅力がある。
加地菜津さんは守谷市在住のモザイク・タイルクラフト作家。
「モザイク・タイル」の楽しさや、その魅力について話を伺った。


投稿日時:2010/11/20

 タイルの歴史は古く、タイルとして現存している最古のものは、4600年前のエジプトのピラミッドに使われたタイルである。それは、INAXの世界のタイル博物館(愛知県常滑市)に保管されている。「今見ても、とても美しいもので感動しました。タイルは非常に耐久性があるので、例えば100年の年月もタイルの寿命にするとほんの束の間という感覚です(笑)」と加地さん。
 加地さんがモザイク・タイルと出会ったのは20才の頃。スペインの建築家アントニオ・ガウディの作品集を手に取って、こんな世界があるのかと、衝撃を受けたそうである。その後もヨーロッパ旅行で、スペインに「ガウディ」の作品を見に行ったり、イタリアで芸術的に優れた作品を見るなど、モザイク壁画に触れる。


【楽しいことを仕事にしたい】

 同じころ、加地さんの心にあったのは「仕事ってなんだろう」ということだった。自分は何がしたいのか自問自答しながら、幼稚園教諭や会計事務所、パソコンでデザインをするなど、様々な仕事を経験する。
 出産を機に仕事を大幅にセーブ。「子供が1才の頃、なんとなく焦るというか、子育てだけでいいのかなと思うようになりました」。そして、また生涯の仕事は何なのか問いかけを繰り返した。「仕事は楽しくなくちゃつまらない。出来れば自分の好きなことを仕事にしたい。でも自分の好きなことってなんだろう。混沌とした思いの中で、自分自身に問いかけを繰り返すと、どうしてもモザイクにいきつくんです」と加地さん。
 人生の中で一番長い時間を費やすのが仕事だから、楽しいと思えること「モザイク」を仕事にしよう。タイル会社でアルバイトを始め、モザイク・タイルに関するノウハウを学んだ。1年後、タイルショップと教室を始める。「最初の2年くらいは、仕事もあまりなかったので、時給にしたら200円くらいではと思う日が続きましたね」。それでも、夢中で制作を続けていた日々は、決してつらいものではなかった。


675person2.jpg【アナンとの出会い】
 モザイク・タイルクラフト作家としての大きな出会いは、小説『アナン』飯田譲治・梓河人著(角川書店)の表紙を飾る「龍」の制作を依頼されたことだ。小説『アナン』は、置き去りにされた赤ん坊のアナンがホームレスに拾われ、様々な人に出会い成長していく物語である。小説の中でアナンは、モザイクの制作にその才能を発揮する。「タイル会社を通して、龍の制作依頼が来る前に、たまたま龍の資料を見ていたんです。何か不思議な縁を感じましたね」龍に引き寄せられて、加地さんと『アナン』は出会う。そして人間的にも尊敬する両作家との交流も、ずっと続いており、かけがえのない出会いだったという。
 また、小説『アナン』の中に出て来るガラスのモザイクで作られたクアハウスを、現実に作 ることが最大の夢だという。小説そのものが醸し出しているのと同じように、 暖かく、神秘的で、全てを包み込むようなクアハウスを作りたいと加地さんは語る。


【母として、アーティストとして】
「今も必死でやっています(笑)」。中学生と小学生の母でもある加地さん。家が仕事場なら子供との時間もとれる、子供が学校から帰った時に家にいてお帰りが言えると、子育てとの両立も視野に入れて選んだ仕事だったが「実際には仕事量の調節は難しいですね。納期前には夜中に働いたり、土日の休みがなかったり…。ほんと必死です(笑)。ジレンマもありますが、やはり仕事は楽しい」。今は、もっと子育てを取り戻したいと思っている。「勉強を見てあげたいですね。知識を吸収する喜びを伝えてあげられたらなと。知っているか知らないかで、楽しみって全然変わってしまう。頑張ったほうが楽しい世界が広がるから、同じやるなら頑張ったほうがいい」。加地さん自身も、この仕事を通してたくさんの人に出会い、いろいろな世界を見て、多くのことを吸収してきた。「学ぶことで世界が広がっていく喜びや、仕事って楽しいものだということを、子供たちにも伝えられたらいいなと思っています」と加地さん。


【思いを込めて作る楽しさ】
 加地さんの仕事は、タイルの販売、タイル教室、注文制作の三本柱で行われている。タイルの販売では、このタイルがどんな風に使われるんだろうと考えるとワクワクするし、タイル教室では、生徒さんにアドバイスをしながら、出来上がっていく作品を見られるのが楽しいという。モザイクの注文制作をしている時は、相手を思い浮かべて作る。話を聞いて、それを吸収し、相手の好みを思い描きながら表現していく。「お客様から好きなように作っていいよと言われるとワクワクしますが、自分の作りたいものを作るのではなく、お客様との関わりを大切にして、その方から学ぶ気持ちで作っています。そうすると、自分も豊かになっていくんです」と加地さん。
 小さなタイルひとつひとつが言葉を持ち、ひとつの作品となって何かを語りかけてくれる。それは平和への願いだったり、愛と希望だったりする。その作品が200年後、300年後に、誰かの目にとまり感動してくれたらいいなと加地さん。



675person_prof.jpg■プロフィール
加地菜津(NATSUKO)

NATSUKO MOSAIC 代表
タイルショップ・ガウディ代表
一般社団法人 日本タイルアート協会 代表理事
兵庫県出身
20才の頃、スペインの建築家アントニオ・ガウディの作品集を見て、その世界観に感動をする。自分は何をしたいのか模索を繰り返し「モザイク」にたどり着く。
タイルクラフトの会社でアルバイトをしながら、ノウハウを学び、制作を開始。
1999年    小説『アナン』飯田譲治・梓河人著(角川書店)の表紙を飾る「龍」を制作。
2000年    タイル教室主宰。『タイルクラフト』雄鶏社に作品を提供
2001年    第18回現代モザイク作家展出品
2003年    取手アートプロジェクト参加
2006年    世界中のモザイクアーティスト356人の作品を集めた『Mosaic Art 2005』CD-ROMに作品を収録
2009年    モザイクビエンナーレ出品
2010年    一般社団法人日本タイルアート協会設立
他、テレビ・ラジオ・雑誌等でモザイクの魅力を多数紹介している
タイル教室は守谷市御所ケ丘の教室にて、毎月第3木曜日を基準に3日間開催。体験教室もあり。





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