常総100㎞徒歩の旅 学生ボランティア 松本夢乃さん、渡邊美菜さん、柳田真希さん、高田伊都美さん

子ども達と100kmを歩いたその先に見えたもの

4泊5日で100㎞を歩き抜く「常総100㎞徒歩の旅」。
8月9日に取手市役所を出発し、
つくばみらい、つくば、土浦を歩き、
4日目には筑波山にも登って13日につくばセンターにゴールした。
小学4~6年生141人が参加したこの事業を支えたのが、
70人余りの学生ボランティア。
時間をかけて準備を進め、無事に全員が完歩して事業を終えた今、
彼女たちは何を感じているのだろう。

リーダーとして「室」をまとめた彼女たち

「子ども達に生きる力を!」を理念に始まった
「常総100㎞徒歩の旅」。
今年10回目を数えるこの事業に欠かせないのが、
学生ボランティアの力だ。
近隣のさまざまな大学から学生が集まり、
それぞれの担当に分かれて準備を進めていく。
運営協議会長の角田知巳さんを始めとする
社会人スタッフのアドバイスを受けながら、
実務のほとんどの仕事をこなす学生スタッフは
「子ども支援室」「救護室」「セーフティネット室」
「マネジメント室」「総務情報室」の
5つの「室」に分かれて活動する。
松本さん、渡邊さん、柳田さん、高田さんは
それぞれの「室」のリーダーとして活躍した。

―みなさんの活動内容を教えてください。
松本:「子ども支援室」は
子ども達と一番たくさんの時間を過ごします。
メンバーは25人いて、
1班子ども12人に2人のリーダーが付いて、
子ども達と一緒に歩き、子ども達を間近で見守りました。
子ども達と直接ふれ合える楽しさがあります。
渡邊:「救護室」は子ども達とスタッフの
健康をサポートします。
暑いので熱中症にはとくに気を遣います。
歩行中は10分に1回は給水し、水かけを行って身体を冷やし、
塩飴などで塩分の補給もします。
緊急時に対応できるよう、事前にしっかり研修も受けました。
柳田:「マネジメント室」は歩行中の休憩地や
宿泊地の設営や清掃を行ったり、
トイレや水を用意したりします。
食事の準備もしますが、スタッフ分も合わせて
200人以上もの食事を用意するので大変です。
高田:「総務情報室」は保護者の連絡と、
旅の様子を撮影してDVDや報告書を作成し、
記録に残すこと、外部団体との連携などが主な仕事です。
出発式やゴールなどの式典の運営もします。

―スタッフをやろうと思ったきっかけは?
松本:弟が参加して興味をもって、
大学生になったらやろうと思っていました。
今3年生で、これまで3回経験しましたが、
毎年参加してくれる子ども達が
成長していく姿を見られるのは楽しいです。
渡邊:大学は社会学部ですが、
子どもが好きだったので参加しました。
柳田:私は子どもは苦手で、
どちらかというと自分が100㎞歩いてみたかった。
でも研修会で初めて子どもと接して、
自分が心を開けば子どもも自然に接してくれると知りました。
そして100㎞で子ども達が頑張る姿を見て
子どもが好きになりました。
自分が子どもを預かれるか不安はありましたが、
先輩や社会人さんのサポートがあって頑張れました。
高田:小学校の先生志望なので、
たくさんの子ども達に接したかったのと、
パンフレットにあった
「生きる力を醸成する」という言葉に惹かれ、
実際に参加すれば言葉の意味が分かるかなと
思ったのがきっかけです。
100㎞歩く子ども達を見て、
子どもの力は無限大であることに気づかされ、
より先生になりたいという気持ちが強くなりました。

子ども達と共に成長する若きリーダーシップ

100㎞を歩く同様の事業は福岡で始まり、
全国18カ所で行われている。
毎年10月末には福岡で全体の研修会があり、
全国から学生スタッフが集まる。
他の地域のスタッフと交流することで、
雰囲気や運営の違いを知り、
常総にないものを吸収して自分たちの運営に生かすなど、
お互いに学び合う場となっている。
子ども達の体験学習と同時に、
学生などの若い世代のリーダーシップを育成するという
側面もある「100㎞徒歩の旅」。
12月頃からスタッフの募集を始め、
春には事業理念を学ぶ研修を受けて意識を高め、
5月頃から各室に分かれて準備に取り掛かる。
学生たちは毎週スタッフ会議を開き、
同じ目標に向かってスタッフ間の団結を強めるとともに、
スムーズに運営するための話し合いを重ねていく。

786person2―活動を通して学んだこと、感じたことなどを教えてください。
松本:私たちが子どもと関われるのは5日間だけ。
その5日間ですごく変われるのに、
家庭に戻ると元に戻っちゃうみたいで。
だから家庭や学校の360日を大事にしてほしいなと思います。
でも「100㎞歩けた」という体験は
子ども達の大きな自信になっているので、
一歩ずつ歩いていけば
必ずゴールに着くということを伝えていきたいです。
柳田:子ども達は目標があれば頑張れる、
くじけていてもちょっとの気づきや助言で
頑張る力が湧いてくるということを感じました。
これをサポートするのが、私たち学生の役目だと思います。
高田:今年は事務局として運営側から
子どもやスタッフも見ていて、
改めて本当にすごい事業だと思いました。
後援申請やあいさつ回りから始まりましたが、
たくさんの人に支えられていることを実感し、
本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
社会人や保護者との関わりから学んだことは、
将来必ず生かせると思います。
渡邊:「救護室」の室長としてまとめる役割になり、
全体が見渡せるようになりました。
スタッフに助言できるようになったことも大きいです。
柳田:私は人を頼ることを学びました。
これまでは自分一人で行動することが多かったのですが、
人に頼ったりお願いしたりして、
人を動かすことで事業が成り立つことを実感しました。
高田:運営はやることがいっぱいで大変です。
それをスムーズに行うには、
自分の頭の中を整理してまとめて、
きちんと伝えることが大事。
自分でしっかり考えて、
人に正しく伝えることができるようになったと思います。
松本:スタッフ募集の班長もしていたので、
チームをまとめる難しさは私も感じました。
自分が伝えたつもりでも伝わっていなかったりすることもあって、
スタッフ70人に伝わる伝え方を考え、
コミュニケーション能力がついたと思います。

彼女たちは間もなく来年度のスタッフ募集の
準備に取り掛かるという。
子ども達と歩くのは5日間だが、
スタッフの活動は年間を通して行われる。
人前で話すこと、人をまとめること、
人と助け合うことなどを学び、
自分の糧としていく彼女たち。
そして本番では、子ども達のがんばる姿に感動し、
自分たちも勇気づけられる。
「もちろん来年もスタッフを続けます!」と話す
彼女たちの笑顔は充実感にあふれ、頼もしく輝いていた。

プロフィール

常総100km徒歩の旅 学生ボランティアのみなさん

2007年に常総青年会議所主催で始まる。
第1回は参加者31人、学生スタッフ14人。
翌年から事業経験者が中心となり
運営協議会を立ち上げ、事業を継続。
小学校の体育館などで寝泊まりしながら
4泊5日で100kmを歩き抜く体験型学習で、
第3回からは毎年小学4~6年生
100人以上が参加する。
子ども達の「生きる力の醸成」、
学生達の「リーダーシップの育成」、
「家庭教育の再認識」、
「地域のコミュニティーの活性化」
などを目的に行っている。
第10回の今年は、
これまでで最多の141人が参加した。


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