常総線守谷駅助役 広瀬 和行さん

地域の人々の”足”として走り続けて百年

11月1日、関東鉄道常総線は開業百周年を迎える。
 各駅には百周年を祝うフラッグが掲げられ、取手駅と守谷駅には横断幕がかかるなど、お祝いムード満載だ。そんな常総線守谷駅で鉄道マンとして働く広瀬さんに常総線の歴史や鉄道の仕事などについて伺った。

親切丁寧な対応でお客さんに笑顔を

取手〜下館間51.1㎞を結ぶ関東鉄道常総線は今年、開業百周年を迎える。百年前の大正二年当時、鬼怒川で盛んに行われていた水上運輸の利便性を高めるために敷設されたのがもともとのきっかけだった。田園地帯の中をのんびりと走るローカル線だったが、やがて1960年代に入り、東京のベッドタウンとして取手や守谷に次々と新しい街が建設されると沿線の人口が増加。通勤・通学の足として地域の人たちに欠かせない路線になっていった。
守谷駅で働く広瀬さんが「地域に貢献したい」と関東鉄道に入社したのは平成11年。水海道市(現:常総市)で育ち、幼い頃から常総線は身近な存在だった。同じく鉄道マンだった父の影響もあり、迷わず自分も同じ道へ。当時はまだ改札も自動化されておらず、改札口に立って切符を切っていた時代。「毎日顔を合わせる乗客も多く、朝夕の挨拶やちょっとした会話で乗客と触れ合えるのが楽しみでした」と語る。やがて自動改札が導入され、改札口に立つこともなくなった。今は窓口での対応が主になるが「乗車券の購入や、乗り換えのためにバス路線について聞かれたり、道を尋ねに来たり、窓口にはいろいろなお客様が訪れます。ときには地図やパソコンを使って調べてあげることもあります。どのお客様にも常に丁寧で親切な対応を心がけ、できるだけ答えてあげられるようにしています。お客様に笑顔で『ありがとう』と言っていただけるのが、一番嬉しいですね」。
駅はいわばその地域の“顔”だ。初めてその街に降り、初めて出会う人がその駅の駅員ということもある。一人一人に親身に対応することで、常総線だけではなく地域のイメージアップにもつながる。駅員というのは、そんな一面も持ち合わせているのかもしれない。

安全第一に利便性を提供するのが鉄道の使命

「鉄道は足ですからね。雪の日でも台風でも、安全に運行する。気持ちよく使ってもらうために、駅をきれいにする。困っている人がいたら、迅速に対応する。そんなことを粛々と続けていく。それが、お客様への信頼につながるのではないでしょうか」。当たり前のことを当たり前にする。それが、実は本当に大切だということを改めて感じた。
意外と知られていないが、鉄道マンの勤務体制は24時間。朝9時〜翌朝9時までが1日の勤務時間で、電車が運行していない終電から始発の夜間も線路の点検やホームのチェックなど安全に運行するためのさまざまな業務を行っている。もちろん非常事態が起きたときにはすぐに対応できるよう体制も万全だ。「車内で具合が悪くなった人がいて、その時は、次の駅で救急車と連携を取りました。後日、お礼に来てくれて、ああ、無事でよかったなあと思いました」。
広瀬さんをはじめ常総線で働く人々にとって忘れられないのが、二年前の東日本大震災。運行中の車両はその場で緊急停車し、とりあえず揺れが収まるのを待ったそうだ。乗客を近くの駅まで誘導し、駅舎の中にいた人たちは屋外に避難。乗客の安全を第一に、冷静な判断と対応で大きな混乱もなく乗り切ることができたが、初めてのことに駅員たちは常に緊張の連続だったという。
震災後は市民の足として一日も早い復旧をめざし、線路の点検などを急ピッチですすめた。そして、翌々日には運行を再開。人々が不安な日々を過ごしている中、安全にかつなるべく不自由をかけないような配慮をした。地域の人たちが日常生活を取り戻していくために、自分たちの役割が重要だということを再確認した出来事だったという。

観光も楽しめるローカル線の魅力

守谷駅を利用する一日の乗客数はおよそ一万二千人。つくばエクスプレスへの乗り換えもあり通勤・通学の利用が多い。守谷駅から下館方面に続く路線はのんびりとした田園風景の中を通り、四季折々の自然が美しくなる。「三妻駅」付近からの筑波山や、「黒子駅」の桜、また、沿線に咲くひまわりやコスモスなどの花々も乗客を楽しませてくれる。ローカル線ならではののんびりした旅を満喫できること間違いなしだ。また赤瓦のとんがり屋根が美しい新守谷駅と、駅名に歴史的背景が残る騰波ノ江駅は「関東の駅百選」に選ばれたところ。ぜひ下車して駅の風情も感じてみたい。
そして鉄道ファン必見なのが、騰波ノ江駅構内にある「とばのえステーションギャラリー」。常総線を愛してやまない「関鉄レールファンCLUB」が月1回土・日曜に主催しているもので、動いている鉄道模型を見学したり、Nゲージ模型の体験運転ができたり、小学生以下は駅員の制服を着て写真撮影や出札体験などもできる。周辺の観光情報や撮影スポットなども教えてくれるので、ぜひ立ち寄ってみたい。

744person2百周年をみんなで祝おう

そして11月1日、常総線はいよいよ百周年を迎える。すでに各駅に百周年を記念したフラッグが掲げられ、ヘッドマークを付けた車両が走り、記念切符やピンバッジなどのグッズも販売されている。
各駅で見かける機関車と「100」の数字を模った百周年記念のロゴマークは、常総線を走っていた五号蒸気機関車をもとに百年前から未来へと続く常総線の歴史をイメージして作られたもの。キャッチフレーズは「笑顔をのせて未来へはこぶ」。これからも利便性とサービスの向上に努め、地域の発展に貢献し、住民の皆さんに笑顔になってもらえるように努力していくという決意が込められているそうだ。私たちの住人の頼れる“足”として、今後のますますの発展を期待したい。

プロフィール

 広瀬 和行  Kazuyuki Hirose

平成11年 守谷駅駅務員として入社
平成14年 水海道乗務区で1年間車掌として業務
平成16年 下妻駅
平成18年 守谷駅
現在は守谷駅助役として勤務
水海道市生まれ、常総市在住趣味はゴルフ

インフォメーション
■車両基地公開イベント
日時:11月3日(日) 10〜15時
*雨天決行

場所:関東鉄道水海道車両基地
(水海道駅から無料シャトルバスあり)
実施イベント:車両展示、工場見学、ちびっこ広場、車両との綱引き大会、鉄道模型運転会など■関東ビール列車
日時:11月17日(日)
運行スケジュール:
取手駅(11:08)→下妻駅(12:16/13:41)→取手駅(14:53)
*途中駅からの乗車は不可
料金:一人3,900円(運賃込み)
内容:生ビール飲み放題、おつまみ弁当付き。その他持ち込み自由。イベント等の詳細な情報はHPで確認を。
http://www.kantetsu.co.jp/train/train_index.html


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