取手交響吹奏楽団 団長 荒張 健司さん

市民の楽団としてみんなに楽しんでもらえる演奏を

今月23日(日)に取手市民会館で
取手交響吹奏楽団の
第15回定期演奏会が開催される。
発足15年目になる楽団を率いるのは、
取手松陽高校での指導経験もある荒張さん。
楽団にかける思いや
定期演奏会に向けた意気込みを伺った。

吹奏楽との出会いは「なんとなく」入部

荒張さんが吹奏楽と出会ったのは
中学生のとき。
小学生までは野球少年だったが、
中学校の部活選びの際には、
先輩に誘われるまま
「なんとなく」吹奏楽部に入部した。
音楽には縁がなく、
楽譜も読めなかったという荒張さん。
入学した藤代中学校の吹奏楽部は部員数も多く、
鶴田昭則先生の熱心な指導のもと、
コンクールでも上位入賞をする強豪校だった。
トロンボーンを担当したが、
まだ満足に演奏もできなかった
1年生の荒張さんには、
「先生が来ると空気が変わった」という
緊張感だけが印象に残っている。
2年生になると新設された
藤代南中学校に移り、
残りの2年間はのびのびと
音楽を楽しむことができ、
音楽の楽しさを感じられるようになった。

高校は新設の取手松陽高校に進学。
担任の大川考史先生が
吹奏楽部の顧問だったこともあり、
誘われて吹奏楽部に入部した。
1期生で上級生がいない中、
3年間部長として
大川先生と部を創り上げていった。
トロンボーンを演奏する傍ら、
先生が不在の際には
練習の先頭に立って指揮棒を振り、
個々の音を
一つの音楽にまとめるおもしろさを知った。
3年生のときには、
県の音楽祭で指揮者デビューも果たし、
ますます吹奏楽が好きになり、
専門的に音楽を勉強しようと
大学は音楽科に進学。
「大川先生のような先生になりたい」と
音楽の教員を目指して勉強に励む毎日で、
音楽の表現方法についても深く学ぶことができた。

卒業後は念願かなって
母校の取手松陽高校に音楽の講師として
10年間勤め、最初の7年間は
大川先生と共に後輩たちの指導にあたった。
「音楽の楽しさを伝えたいと
一生懸命取り組み、
先生の指導方法を間近で見ながら、
生徒と一緒に曲を創り上げる喜びを
感じることができた貴重な時間でした」
と振り返る。

人生の指針となった大川先生の教え

「先生に出会わなければ
音楽を続けてはいなかった」と語るほど、
荒張さんの人生を決定づけ、
多大な影響を受けてきた大川先生。
「音楽の話はもちろん、
雑学的なことまでいろんな話をしてくれました。
部活動もとても熱心に指導してくださり、
高校3年のときに、コンクールで初のA部門
(55人までの大編成部門で全国大会までつながる)
に出場できたことは、とても良い思い出です」。

音楽に妥協をせず、
曲の完成度を求めて練習を重ね、
服装やあいさつなど
生徒指導も厳しかったといい、
「音楽に取り組む姿勢や
人としての在り方など、
人生で大事なことは先生から学びました」と語る。
大川先生の教えは人生の指針となり、
音楽だけでなく仕事の上でも
荒張さんを支えてきたそうだ。

地域に密着した楽団を目指して

その後教職からは離れたが、
取手松陽高校の卒業生を中心として結成した
「松陽吹奏楽団」を
「取手交響吹奏楽団」と改名して、
地域に密着した楽団をめざして
新たにスタートさせた。
荒張さんがこだわったのは
「コンクールに出場する楽団」で、
毎年8月に行われる
茨城県吹奏楽コンクール出場している。
「コンクールでは自分が
足を引っ張ってはいけないと思うから、
団員も当然真剣になる。
審査員から相当叩かれますが(笑)、
もっと上手くなりたいとモチベーションが上がり、
レベルアップにつながります」と、
こだわる理由を語る。

団員は高校生や大学生、会社員や主婦など
年代も学校も職場もさまざま。
近隣の市町村から
60~80人くらいが週末の練習に通う。
「まずは楽しんで演奏することが一番。
演奏者が楽しんで、
気持ちを音楽にのせなければ
お客さんに伝わりません。
練習を重ね、一人一人の気持ちがのってくると、
おたがいの音が調和するようになって、
悲しい場面では悲しい音が、
楽しい場面では楽しい音が
出るようになってくるのです。
演奏の技術以上に大切なことです。」

音楽が好きで音楽を楽しむために
集まってくるメンバー。
もちろん真剣に取り組んでほしいし、
向上心を忘れてほしくないが、
団員たちが楽しく練習でき、
楽しく帰ることができることを第一に、
和やかな雰囲気作りを心がけているそうだ。

団員、お客さんと一体となれる喜び

「曲を情熱的に作り上げる指揮者」
と言われることが多いという荒張さん。
楽団にはいろいろな個性をもった
3人の指揮者がいる。
3人だからこそ多彩な曲が演奏でき、
楽団としてバリエーションが出るという。
チームプレーで成り立つ楽団を率いる指揮者は、
スポーツや映画でいえば監督役。
こういう音を出してほしい、
こう演奏したいという
期待どおりの演奏をしてくれて団員と
一体となれたときが最高の喜びであり、
観客からの温かい拍手が荒張さんや
団員たちのモチベーションを上げる。
吹奏楽をやっていてよかったと
思える瞬間だそうだ。

定期演奏会では
「とにかく観客のみなさんに楽しんでほしい」
と荒張さん。
子供から年配の方まで楽しめるよう、
だれもが知っている
ポップスや演歌を取り入れるなど
選曲にも気を配る。
「コンクールは自分たちのための演奏、
演奏会は観客のための演奏」と語り、
お客さんにみんなに
音楽の楽しさを伝えたいと思っている。

目標は「お客さんの生活の一部に
入り込めるような楽団」。
「例年は1月に行っている定期演奏会に
毎年足を運んで、今年も始まるね、
と言ってもらえるような楽団になりたい」そうだ。
近場で気軽に音楽を楽しみたい人のために
演奏したいと無料で開催し、
小さな子供連れでも気兼ねなく観覧できる。
地域の楽団として市の行事や
福祉施設などでの演奏も積極的に行い、
市民に聴いてもらえる喜びを感じている。

792person2荒張さんにとって音楽とは
「生きがいであり、若さを保つ秘訣」。
音楽を通して年齢に関係なく
いろんな人と知り合うことができ、
交流できるのが一番の魅力という。
今や生活になくてはならないものとなっている音楽。
そんな音楽の素晴らしさを多くの人に届けたいと、
地域のための楽団として、
これからも私たちを楽しませてくれるだろう。

プロフィール

取手交響吹奏楽団団長
荒張 健司さん[Kenji Arahari]

1968年 兵庫県神戸市生まれ 取手市在住

1987年 取手松陽高校卒業

1989年 尚美学園短期大学音楽科卒業
取手松陽高校に講師として赴任。
10年間、吹奏楽部の顧問として指導にあたる。
取手松陽高校の卒業生を中心として、
取手交響吹奏楽団の前身である「松陽吹奏楽団」を発足

2001年 「取手交響吹奏楽団」に改名。
第1回定期演奏会開催。
2016年8月 「茨城県吹奏楽コンクール」において
「職場・一般の部 A部門」で銀賞を受賞。


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