株式会社髙橋合金 代表取締役社長 髙橋 孝造さん

社会との共存を目指し地元が誇れる"メイドインジャパン"の会社に

 かつては「ものづくり大国」と言われていた日本だが、事業所数も従業員数も減少し続け、製造業は衰退傾向が続く。そんな中、近年、日本の技術力の高さに再び注目が集まっている。海外でも高い評価を受ける日本の逸品を紹介するテレビ番組が増え、町工場が大企業を相手に技術力の高さで奮闘するドラマ『下町ロケット』が話題になった。そんな世界に誇れる"メイドインジャパン"が地元、守谷にもあると聞いて、はんだのリサイクル事業に取り組む髙橋合金の髙橋孝造社長を訪ねた。

環境に配慮したはんだのリサイクル業を創業

「はんだ」とは金属の接合剤に使われるすずと鉛の合金のこと。
低い温度で溶け、柔らかく加工しやすい便利な金属として古くから使われてきた。
現在ではカメラやテレビ、携帯電話、パソコンなどの電子・電気製品の電子基板や配線など、
私たちの身の回りにあるあらゆる物に使われており、なくてはならない金属だ。
かつては使用後のはんだはゴミとして廃棄されていた。
しかし鉛を含んだはんだは環境を汚染し、ときに健康被害ももたらす。
そこで髙橋合金では、使用済みのはんだを集め、溶かして不純物を取り除き、
再びはんだの材料にするリサイクル事業に取り組んでいる。
髙橋さんの父である先代が事業を始めたのは1973(昭和48)年のこと。
それまで勤めていたはんだ製造会社から独立して創業した。
当時は工場の産業廃棄物による公害が社会問題になってきた頃。
とはいえまだまだ環境保全の意識は低く、
多くの業者が使用済みはんだを無造作に破棄していた中、
集塵装置を設置して有毒物質を含む煙や排気をシャットアウトし、
環境を汚染しない方法ではんだのリサイクルを始めた。
しかしリサイクル品はB級品というイメージが強く、
当時はなかなか需要に結びつかなかったという。
家族だけで工場を経営していたその頃、中学生の髙橋さんも度々仕事を手伝わされた。
「仕事が嫌でね。きつかったし(笑)」辛い作業に家業が好きになれずにいたが、
高校卒業後に働いた千住金属工業で上司から言われた一言で見方が変わった。
そこは髙橋合金が製品を納めているいわゆる親会社。
「『お前の所のはんだは品質が良いのでそのまま使える。
他所の会社のではそうはいかないんだよ』と言われたんです。
それまではただのリサイクル品を造っているだけだと思っていたけど、
実は最先端の製品を造っていることを知って、すごく誇らしい気持ちになりました」。

プライドをもって高品質の製品を造る

人手不足もあって二年足らずで実家に戻ると、一層仕事にも熱が入った。
しかし自信をもって良い物を造っているにもかかわらず、需要は伸びない。
「過剰品質と言われたんです。
そんなに高品質な物でなくてよいから、もっと安い物がほしいと。
でも手を抜いて品質を下げることはしたくない。
そこで製造過程や品質管理を見直してコストを下げる方法を考えました」。
環境保全に力を入れながら良い物を造る、
その企業としてのプライドだけは曲げられなかったという。
「その頃はバブル期で楽して儲けられる時代。
悔しい思いもしましたが、
それからしばらくして環境にも配慮した純度の高い我が社の品質が認められ、
リサイクル品はB級品でなくなりました」と、
時代が追いついてきた今、誠実に仕事をしてきたことの結果を振り返る。

環境保全への取り組み

髙橋合金の工場では、はんだをリサイクルする機械以上に、
大きな集塵装置が場所を取る。
産業廃棄物処分業者の認可をとってはんだのリサイクルをする
全国でも数少ない業者の一つだ。
そのため全国から使用済みのはんだが集まってくるという。
「はんだの技術では日本は世界一。その日本の中でも、
産業廃棄物から鉛フリーはんだを製造する会社としてはトップブランドだと自負しています。
品質の安定はもちろんですが、製造工程で有害物質を抑制し、
集められた産業廃棄物の再生率向上を常に目指しています」。
なぜそこまで環境保全にこだわるのか。
それは「地元を大切にしたいから」と髙橋さん。
地元守谷と共に栄え、発展することを目指すためには、
環境を汚染して地元に迷惑をかけるわけにはいかない。
地元の人に愛される企業になりたい。
そんな思いは、休日に従業員が自主的に地域のゴミ拾いなどの清掃活動をしたり、
地域の産業まつりである「モコフェスタ」に参加するなどの形でも表れている。

社員は会社の財産

二代目社長となって10年、社員21人を抱えるまでに成長した会社をまとめる
髙橋さんが心がけているのが、社員とのコミュニケーション。
朝礼と夕礼は欠かさず、社員一人ひとりの様子を気に掛け、それぞれの仕事を把握する。
「良い会社とは、社員が居心地が良い会社だと思っています。
社員は会社の財産、会社が一番大事にしたいのが社員です。
だから社員のだれもが満足のいく会社でありたいと思っています」と髙橋さんは語る。
社員が元気に働き、良い製品を造り、不良品を出さないこと、
それが会社の一番の利益になり、会社の発展につながるからだ。
そして社員の頑張りによって出た利益は社員に還元する。どこまでも社員思いの社長だ。
暑さが厳しい夏場はサマータイムを導入し、就業時間を午前6時~午後3時にしたところ、
家族との時間がたっぷり取れると喜ばれた。
会社のイベントには家族やお世話になった人なども同伴して一緒に楽しむ。
プライベートが充実していないと良い仕事はできない、そう考える社長は社員の家族も大事にする。

環境への取り組みを積極的に行う事業所を環境省が認定する「エコアクション21」にも登録し、
社会との共存を大事にする髙橋合金。
その企業理念を社員一人ひとりが共有し、同じ目標に向かって働く。
環境に優しい、日本一のはんだリサイクル技術で社会に貢献する会社は、
社員にも優しい会社だった。「良い仕事は元気な社員から生まれる」という髙橋社長の考えのもと、
世界に誇れる技術はこれからもますます発展していくに違いない。

プロフィール

株式会社髙橋合金 代表取締役社長 髙橋 孝造さん[Kouzou Takahashi]

1969年    守谷市生まれ、守谷市在住
1973年    先代が個人事業として現在地に髙橋合金を設立
1999年    産業廃棄物収集運搬及び処理業の許可を取得
2004年    代表取締役社長に就任
2005年    「エコアクション21」取得

プライベートでは、モコフェスタ実行委員会に参加。
守谷のマスコットキャラクター「もりやもり」を誕生させる。
趣味のサックスを家族や仲間と楽しんでいる。


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